2026年1月20日
2023年の終わりに転職活動をしていた頃、採用担当者から「1件の求人に300〜500件の応募が来る」と聞いていました。当時の私には、それだけでも十分に混み合った市場に見えていました。
ところが2026年1月20日、モスクワのミドルレベル向けフロントエンド求人を開くと、表示されている応募数が数時間で6,000件近くまで伸びていました。ほかのミドルレベルのフロントエンド求人でも、公開後まもなく数千件の応募が集まる例を目にしていました。
この差は無視できません。ただし、そこから導く結論は、最初に感じたほど単純ではありません。
6,000件近い数字は、その求人に非常に大きな関心が集まったことを示す強い材料です。しかし、6,000人の有資格フロントエンドエンジニアが1枠を本気で争っていたことの証明ではありません。そして、この1件だけでロシアのIT市場全体が過飽和だと断定することもできません。
数字は事実でも、解釈は慎重にする必要がある
応募カウンターは分かりやすい一方で、意味を大きく取りすぎやすい指標です。プラットフォーム側が集計方法を明示していない限り、何件がユニークな候補者なのか、要件を満たす人が何人いるのか、とりあえず応募しただけの人がどれだけいるのか、採用側が実際に何件を見るのかは分かりません。
そのため、「応募6,000件」を自分の採用確率に変換することはできません。その数字だけでは、自分の勝率は分からないからです。
それでも有用なシグナルではあります。この求人の候補者プールが非常にノイズの多い状態だったことは分かります。たとえ応募のかなりの部分が要件に合っていなくても、採用側の一次選考は、2023年に聞いていた300〜500件のケースよりはるかに重くなります。こうなると、実力があることと見つけてもらうことは別の問題になります。
最初の「市場は過飽和」という結論は広すぎた
私の最初の反応は、「市場はかなり過飽和だ」というものでした。そう感じた理由は今でも理解できますが、現在ならもっと範囲を限定して表現します。
自分の経験から直接言えるのは、私が見ていた範囲、つまりモスクワのミドルレベルのフロントエンド求人は、2026年1月時点で候補者側から見ると非常に混雑していたということです。
これは、すべてのIT職種、すべてのシニアリティ、ロシアの全都市、業界全体の状態を証明する話ではありません。バックエンド、モバイル、データ、セキュリティ、インフラ、マネジメント、ニッチなエンタープライズ技術、シニア職では、それぞれ需給が違う可能性があります。私の観測だけで、それらを1つの全国的な結論にまとめることはできません。
派手な数字は重要な証拠です。しかし、それだけで市場全体のモデルにはなりません。
候補者として体感した変化
応募数以外にも、2023年末と比べて変わったと感じた点がありました。
- 同じ目立つ求人に、より多くの応募が集中していました。最も印象的だったのが、数時間で6,000件近くまで伸びた求人です。
- 競争が増えても、給与が上がっているようには見えませんでした。私が見た求人では、条件が横ばいに見えるものが多く、以前より低く感じるケースもありました。
- 本当に魅力的だと思える機会が減ったように感じました。特にミドルレベルのフロントエンドでその印象が強かったです。
- 採用ファネルのノイズが増えました。1つの求人に数千件の応募が来るなら、良いエンジニアであることと、採用側の目に留まることは同じではありません。
これはロシア全体の雇用統計ではなく、あくまで候補者側からの観測です。ただ、転職活動をする開発者が実際に直面し得る環境を表しているという意味では、価値のある情報だと思います。
今なら、このような求人をどう読むか
同じような求人を今評価するなら、応募数は「1つのシグナル」として使い、結論そのものにはしません。
- 応募数を自分の成功確率だと思わない。ほかの応募者の質や職務との適合度は分かりません。
- 人数より先に、自分との適合度を見る。経験と強く合う求人なら、数字が異常に大きくても応募する価値はあります。
- 最初のスクリーニングを簡単にする。履歴書では、関連する技術スタック、担当範囲、具体的な成果がすぐ見つかる状態にしておく。混雑したファネルで「なぜ合うのか」を採用担当者に推測させるのは不利です。
- 1件ではなく複数求人のパターンを見る。検討した求人、給与、要件、表示される応募数、自分の返信率を記録する。極端な1件は逸話ですが、同じ傾向が繰り返されれば情報量は大きくなります。
逆の思い込みにも注意が必要です。応募数が多いからといって、「どこに応募しても無意味」と決めるのも早計です。カウンターが示すのはファネルの混雑であって、全応募者が同じだけ職務に合っているという意味ではありません。
確認できることと、確認できないこと
私が確認できる出来事の流れはこうです。2023年末、私が話した採用担当者は1求人あたり300〜500件の応募について話していました。2026年1月には、モスクワのミドルレベルのフロントエンド求人で数千件の応募を目にし、そのうち1件は数時間で6,000件近くに達していました。同時に、私が見ていた範囲では給与は横ばいか弱く見え、本当に魅力的な機会は見つけにくく感じました。
一方、この情報だけでは、なぜそうなったのか、数千件のうち何件が本当に要件を満たしていたのか、ロシアITの全領域で同じ圧力が起きていたのか、2026年の後半に市場が安定したのかは証明できません。それを判断するには、一人の開発者の転職活動より広いデータが必要です。
私がこの経験から持ち帰ったこと
6,000件近いカウンターは、ロシアIT全体の秘密を教えてくれたから印象に残ったわけではありません。
少なくとも一部のモスクワのフロントエンド求人では、候補者のファネルが短時間で非常に大きくなり得ることを実感したからです。その環境では技術力はもちろん重要ですが、それだけでは足りません。求人との関連性、履歴書の分かりやすさ、応募するタイミング、そして最初の選考を通過できるかも重要になります。
「採用に値すること」と「採用側に見つけてもらうこと」は別の問題です。
2026年の市場について、私が自分の経験から確実に話せるのはこの部分です。これが新しい常態になるのか、一時的な極端な状態だったのかは、まだ断定できません。