以前、私はAIエージェントにシンプルなSEOタスクを与えました。テーマを自分で選び、記事を書き、そのまま作業を続けるというものです。
10本でも100本でもありません。私は最初から1万本の記事を作ろうとしました。
エージェントは数日間動き続け、本当に完了させました。長く、構造化された記事が何千本も生成され、ファイル全体は数百MBになりました。見た目だけならかなり立派でした。タイトル、見出し、本文、キーワード、まとめまで揃っていて、大規模な専門コンテンツライブラリのように見えました。
しかも最初は、戦略が成功しているように見えました。Googlebotは最終的に、生成した1万本すべての記事URLをクロールしました。当時の私は、それを成功の証拠のように受け取っていました。しかし違いました。クロールされたということは、GoogleがURLを発見して内容を取得したというだけです。実際にインデックスされ、Google検索に表示され、インプレッションやアクセスを生んだのは約1,000ページでした。
ところが、その後は逆方向に進みました。
AIで生成したページが少しずつインデックスから消え始め、さらに多くのページが続きました。最終的にはAI記事だけの問題ではなくなり、ホームページを含めてサイト全体のインデックス数が0になりました。
この経験で、SEOにおけるAIの使い方を根本から変えました。
クロールとインデックスは別物だった
基本的な違いに見えますが、Search Consoleで何千ものURLを追っていると、この2つを混同しやすくなります。私の場合、Googleは生成した1万本の記事URLをすべてクロールしました。つまりGooglebotはページを発見し、取得していました。しかし、それは1万ページすべてがGoogleのインデックスに採用されたという意味ではありません。
実際にインデックスされて検索結果に出たのは約1,000ページです。それらは本当にインプレッションと検索流入を生みました。一方、残りの何千ページはクロールされても検索可能な状態にはなりませんでした。Google Search Consoleのドキュメントでも、クロール済みであってもインデックスされないURLが存在することは明確に説明されています。
この経験以降、私はクロールを「評価された」「認められた」という意味では見なくなりました。クロールはGoogleがページを調べているだけです。インデックスは別の判断であり、さらに長期間インデックスに残り続けることも別のテストです。私のケースでは、最初に検索へ入った約1,000ページさえ最終的には消えていきました。
危険だったのは、文章の見た目が悪かったことではない
ここは重要です。生成された記事は、見るからに壊れた文章ではありませんでした。長く、文法もそれなりに自然で、見出しがあり、構成も論理的でした。1ページだけを単独で開けば、普通のSEO記事として成立しているように見えたものも多くありました。
しかし私は、文章を書く作業だけでなく、「なぜその記事を書くのか」という理由そのものまでAIに渡していました。
テーマを選ぶのもAI。何を説明するか決めるのもAI。構成を作るのもAI。本文を書くのもAI。そして私は、1ページずつ読んで検証・編集・改善することが現実的に不可能な規模で公開していました。
多くの記事には私自身の一次経験がありませんでした。独自調査も、本当のストーリーも、自分のデータも、強い独自見解もありません。意味のある具体例は少なく、画像も0枚か1枚程度のことが多かったです。何より、多くのページは「同じテーマの記事がすでに何千本もあるのに、なぜこのページが存在する必要があるのか」という問いに答えられませんでした。
役立つ記事の「形」はありました。しかし、役立つ記事を役立つものにする本質的な要素、つまり独自の価値が足りていませんでした。
当時は「AIペナルティ」と呼んでいた。でも今は、それでは説明が粗すぎると思う
サイトが消えた直後、私は「GoogleがAI文章を検出して、AIを使ったドメインを罰した」と考えました。
今は、その説明は正確ではないと思っています。
Googleの公開ガイドラインはもっと明確です。生成AIを使うこと自体は禁止されていません。問題になるのは、AIを含む自動化を使って、ユーザーへの価値をほとんど追加せず、主に検索順位を操作する目的で大量のページを作ることです。Googleはこれをscaled content abuseと呼んでいます。
そして、この定義は当時の私のやり方にかなり近いものでした。
すべてのインデックス判断が、特定の1つのアルゴリズムや手動の「AIペナルティ」によるものだったと証明することはできません。検索システムはそこまで透明ではありません。ただし、自分の実験で起きた順序は正確に説明できます。SEO目的でほぼ自律的に生成した1万本の記事を公開し、Googleは1万本すべてのURLをクロールしました。しかし実際にインデックスされ、検索結果に表示され、流入を生んだのは約1,000ページでした。その約1,000ページも徐々にインデックスから消え、最終的にはサイト全体が0ページになりました。
この違いは重要です。教訓は「GoogleはAIが嫌い」ではありません。AIは、検索流入を先に考えて大量生産したコンテンツを、長く整った文章にするだけで価値あるコンテンツへ変えてくれるわけではないということです。
見た目が良い1万本でも、なぜコンテンツ戦略として失敗したのか
生成AIの最大の罠は、制作コストがほぼゼロに近づいても、編集責任はゼロにならないことです。
少し前なら、1万本の長文記事を公開するには莫大な予算か人手が必要でした。その摩擦があるからこそ、「そもそも何を書く価値があるのか」を考える必要がありました。AIはその摩擦を大きく減らしました。今では、公開する価値があるかを考えるより先に、とんでもない量のコンテンツを生成できます。
その結果、複数の問題が同時に起きます。
- 編集上の選別がない: 検索需要がありそうという理由だけでAIが何千ものテーマを選ぶと、読者ではなく検索エンジンのためのサイトになっていきます。
- コモディティ化した情報: 一次経験、独自データ、独特な視点を出す代わりに、すでにネットにある情報を再構成する記事が増えます。
- 現実的な品質管理ができない: 1万ページに対して「あとで全部確認する」は編集プロセスとは呼べません。
- 事実誤認のリスク: 流暢で説得力のある文章でも、架空の詳細、古い情報、微妙な技術ミスを含むことがあります。
- ページごとの差別化が弱い: 1記事ずつなら読めても、サイト全体で見ると似た内容が繰り返され、交換可能なページ群になります。
- クロールとインデックスの無駄: 低価値な巨大セクションがあると、本当に重要なページと並んで何千ものURLを評価させることになります。
文章量は私を救いませんでした。きれいなHTML構成も救いませんでした。大量のキーワードも救いませんでした。1ページが1,500語あっても、コンテンツ工場はコンテンツ工場です。
インデックスが0になったあと、私がやったこと
大量生成したセクションは「改善」ではなく削除すべきだと認めた時点で、私は延命をやめました。
AIで作った1万本の記事をすべて削除しました。
数百ページだけではありません。すでに落ちたページだけでもありません。実験そのものを全部消しました。生成には数日かかり、ファイルは数百MBありました。しかし、作るのにコストを払ったからという理由だけで残すのは、典型的なサンクコストの罠です。
意図的かつ恒久的に削除したURLには410 Goneを返すようにしました。そして大量投稿を止め、記事の作り方そのものを変えました。
それからは、自分が実際に作ったもの、壊したもの、直したもの、計測したもの、試したもの、考えたことを中心に書くようになりました。テーマによっては興味を持つ人が少ないかもしれません。それでも構いません。少なくとも、私自身がそのテーマを書く理由を持っています。
AIを捨てたわけではありません。今でもかなり使っています。ただし役割が変わりました。
今のルールは「作者は自分、AIは道具」
現在は、AIが本当に得意なところで使っています。
- 荒いメモを読みやすい構成へ整理する;
- 自分の主張に反論させ、説明不足を見つける;
- より良いタイトルや導入を提案させる;
- 文法、句読点、重複、不自然な文章を直す;
- 技術的な説明が理解しやすいか確認する;
- コード例やリストの見せ方を整える;
- 自分で書いた完成記事を別の言語へ翻訳する。
逆に、もうやりたくないのは「1万テーマを選んで、1万本のSEO記事を書いて、そのまま全部公開して」というワークフローです。
違いは責任の所在です。今はアイデアが私から始まります。経験も私のものです。何が正しいか、何が重要か、何を削るか、どこを強調するかを自分で決めます。AIは表現を良くすることはできますが、ページが存在する理由そのものを丸ごと発明する役割にはしません。
そして完成した記事は自分で読みます。当たり前すぎる話ですが、昔との最大の違いです。1万本の自動生成記事では、物理的に編集者になれませんでした。意識して少数を作るなら、自分で責任を持てます。
復旧には時間がかかった。だからこそ、この賭けはおすすめしない
1万本を削除しても、その翌日に元に戻ったわけではありません。
長い間、サイトはGoogleにほぼ存在しない状態でした。削除したURLは削除したままにし、少数の意識して作った記事だけを公開し、Googleが再びサイトをクロールし評価するのを待ちました。
約2か月後、ホームページがGoogleのインデックスに戻りました。
以前、実際に検索へ入っていた約1,000ページと比べれば、ホームページ1枚が戻っただけというのは小さく見えるかもしれません。しかし私にとっては、はるかに重要な変化でした。Googlebotも再びサイトをクロールするようになりました。この記事を書いている時点で、完全復旧したとは言いません。新しい記事がすべてインデックスされるとも言えません。まだその証拠はありません。
確認できているのはもっと限定的な事実です。0ページまで落ちたサイトでホームページが再びインデックスされ、1万本の大量AIコンテンツを削除して公開方針を変えたあと、Googleが再びクロールするようになったことです。
SEOのリスクについてもう1つ学びました。近道は数日で作れても、その後始末には何か月もかかることがあります。
AI翻訳は、私の中ではまったく別のユースケース
この経験から「AIで文章を作るな」と結論づけたわけではありません。むしろAI翻訳については、私はかなり良い経験をしています。
自分の経験、検証、考え、専門知識をもとに自分で記事を書いたなら、それを別言語へ翻訳することと、「検索テーマを何千個も考えて記事をゼロから自動生成すること」は本質的に違います。
元の記事にはすでに価値があります。AIが変えているのは言語であって、その記事が存在する理由ではありません。
これはAIの中でも私が特に肯定的に使っている分野です。以前なら、毎回の記事を5言語、10言語、20言語へ翻訳するには、フリーランス翻訳者へ依頼するか、自分で何時間も作業する必要がありました。今はAIが非常に短時間で良い初稿を作れるため、個人開発者でも多言語ブログが現実的になりました。
ただし、SEOの技術実装は必要です。私のサイトでは、言語版をクライアント側の状態だけで切り替えるのではなく、実際にクロールできる独立URLとして用意し、server-renderedまたはpre-rendered HTMLで提供することを好みます。本文そのものを本当に翻訳し、言語版同士をhreflangで正しく結び、内部リンクから到達できるようにし、必要に応じてsitemapやクロール構造にも含めます。
Googleも、多言語サイトでは完全に翻訳された同一コンテンツのページをサポートし、言語ごとに別URLを用意してhreflangで関連付けることを推奨しています。重要なのは、その翻訳ページが実際の読者のための実際のページであることです。URL数を増やすためだけの低価値な派生ページではありません。
この運用については、AIでブログを多言語化した実例の記事で詳しく書いています。
SSRは品質を作らない。ただ、不要な技術的不確実性を減らせる
もう1つ、私はコンテンツ品質とテクニカルSEOを別レイヤーとして考えるようになりました。
SSRや静的生成を使っても、役に立たない記事は救えません。完璧なhreflangでも、ありふれた文章は独自コンテンツになりません。sitemapだけで検索需要が生まれるわけでもありません。
ただし、公開する価値のある記事ができたなら、検索エンジンにはできるだけ明確な技術表現で渡したいです。多言語コンテンツなら、予測可能な言語別URL、クロール可能なサーバーレンダリングまたは事前生成HTML、相互のhreflang、言語版同士を結ぶ明確な内部リンク、重要ページを誤ってブロックしない設計を重視します。
テクニカルSEOの役割は、価値あるコンテンツを見つけやすく、理解しやすくすることです。価値そのものの代わりにはなりません。
今、私が信頼している記事制作フロー
- 自分が本当に知っていること、経験したことから始める。 直したバグ、作ったシステム、行った実験、失敗、結果、そして自分で説明できる意見。
- キーワードより先に内容を書く。 Googleから1アクセスも来なくても、その記事が読む人に役立つ状態を目指します。
- AIを編集者・壁打ち相手として使う。 構造、分かりやすさ、文法、具体例、説明不足を改善させます。
- 事実と技術的主張を検証する。 流暢な文章は証拠ではありません。
- 一次経験を入れる。 数字、スクリーンショット、コード、失敗、制約、判断、結果を入れると、一行のプロンプトで再現できない記事になります。
- 最後は自分で読む。 読み終わって自分の名前を載せたくない文章なら公開しません。
- 完成した記事は、必要ならAIで翻訳する。 すでに存在する価値を別言語へ広げる用途にはAIが非常に強いです。
- 多言語ページを技術的に正しく実装する。 独立したクロール可能URL、明確な言語シグナル、
hreflang、内部リンク、明快なレンダリング。 - 自分が監督できる量だけ公開する。 一度も読んだことのない1万ページを所有するより、30ページを理解しているほうを選びます。
AIは目的を生むものではなく、増幅するもの
今の私にとって最も分かりやすいAIの捉え方は「増幅器」です。
出発点が本物の経験、役立つアイデア、独自データ、強いオリジナル文章なら、AIはそれを増幅できます。文章を改善し、整理し、翻訳し、反論を出し、同じ価値をより多くの人へ届けることができます。
一方、出発点が「検索流入を取るために何千個もキーワードを出して」なら、それも増幅します。以前なら高すぎて実行できなかった間違った戦略を、巨大な規模で実行できるようになるだけです。
だから今はかなり慎重です。私はAI反対派ではありません。毎日使っています。反対なのはオートパイロットです。
この実験から得た一番強い結論はシンプルです。AIが自分より速く書けるからという理由だけで、編集判断までAIへ渡してはいけない。
自分から出てくるものを書き、AIで分かりやすく、強く、読みやすくし、必要なら多言語に広げる。しかし目的、専門性、検証、最終判断は人間が持つ。
AIによって公開することはかつてないほど簡単になりました。だからこそ、何を公開しないかを判断する能力が、以前より重要になったと思っています。